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シネマ絵ッセイ

映画の感想、考察、レビューなど 絵や画像を使ってエッセイ風に書いています

シネマ考察『人生の順番』で見るスターウォーズ

 ※注意 ネタばれ有りのエッセイなので、
スターウォーズシリーズ未見の方はご注意ください

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“映画『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズより引用 ”

スターウォーズSF映画として
馴染みにくい人は
「人生についての映画」でなく、
「人生そのものの映画」として見ると、
見やすくなるかもしれません。

エピソードが456123の奇妙な順番
で作られているのは、
「ルーカス監督自身の人生の順番」
でつくられているからだと思います。
だからこの順番で見ると
感情が入りやすく、
見やすくなると思います。

 人生の順番で映画のエピソードを
追っていくとー
エピソード456は
何もない辺境の砂漠。
田舎の青年が使命に目覚め
宇宙という大海原に旅立ち
恋愛、友情、人生の師に出会い
紆余曲折の末、
敵であり、実の父である
支配者「ダースベイダー」
を倒すまでの物語。

これは、監督であるルーカスが
映画界での成功を夢見て
故郷を飛び出し、ハリウッドを目指す。
そんな彼の前に
人生の壁として現れた
映画監督の夢を反対した父、
創りたい映画を作ることを邪魔した
ハリウッドのプロデューサー、
という「支配的な父性」を乗り越える
ルーカスが成功するまでの
人生と重なります。

 

 エピソード123は
才能ある一人の少年が
自分の力に目覚めていく成長物語から、
人生における苦みに耐えきれず
母への愛は、力なき自分への怒りにー
恋人への愛は、不信にー
師への愛は 裏切りへの憎しみにー
全て深い闇の中に墜落し、
闇の底に転落した者の
孤独と怒りの物語へと着地します。

これも、成功した監督自身が、
その地位とひきかえに
周りから友人達が離れ、
仕事漬けで最愛の妻との愛が薄れ離婚。
理解されない孤独に苦しみ
なりたくなかった
憎んでいたはずの
昔の支配的な父になってしまう
人生を辿ります。
だから、456123の順番は
「父の支配」を乗り越えた自身が
「父のような支配者」になってしまう
リアルな人生に沿う
含みのある物語として、
楽しむことができます。

 

これをエピソード順
123456の順番で見ると、
ただ物語を追うだけで、
人生が乗らない。
ルーカス監督の当時の
怒り、悲しみ、喜び、憎しみ
そして愛へのジレンマ
が胸に響きにくくなります。

 

その上で面白いのが新三部作の存在。
新三部作の789とは何か?
まず監督が何故、自ら作らず、
ディズニーにバトンを
渡したのかというと、
空想の力より、現実の幸せが
勝ったからだと思います。
監督は最愛の人を見つけ子供に恵まれ、
幸せな現実を手に入れました。
もはや、自ら創る必要がなくなった。
スターウォーズ」という空想の中では
「支配者とでしか
存在することのできなかった父」
それが本当に愛すべき人と子供と出会い
「見守るべき存在としての父」
現実の世界で昇華されたのだと思います。
だからルーカス監督が
自らの人生の苦楽を
サーガ(伝説)として伝える
役目に回ったのだと思います。
だから789は、父になった青年が
子供に自分の人生で見えたものを、
おとぎ話をまじえて伝える話。
サーガ(伝説)を、次の世代に
バトンタッチする意味が強く、
だからストーリーが
「昔の作品のまとめ」=「父が話す昔話」
であり、出てくるキャストが
「新世代のいろんな人種で、
多様な可能性を秘めた価値観の集まり」
=「未来を胸に聞いている子供」
になっているのだと思います
そしてディズニーが、
その架け橋として選ばれているのは、
いろんな世代に、
広く伝えていきたいからだと思います。